BOURBON STREET

Step 30   ジョン・マークス

高井洋治 (ODJC会員)

初めてジョン・マークスに会ったのは、15年前の5月芦屋のレフトアローン、ラスカルズとのセッションでした。記憶はおぼろげだが、雨の晩だったと思う。「会った」と言っても、私は近くのカウンタにいただけで、彼はほかのお客さんと話をしていました。快活な振る舞いで、40代半ばという年齢よりはるかに若く見えました。物腰は非常に穏やかだった。

翌々日の5月17日は、池田五月山教会でのコンサートでした。何よりもその大きな手! 掌が鍵盤を覆っているかのように見えました。そこから叩き出される音は強烈ですが、それでいて非常にクリアなタッチに感嘆しました。演奏はどれを取ってもすばらしいものでしたが、個人的には 河合良一とのトリオで "In The Upper Garden" 、福田恒民・木村陽一が加わったセクステットの "St. Philip Street Breakdown" が特に印象に残っています。

終わりのスピーチで、「(ラスカルズをいつも聴ける)あなた方日本人は幸せな人たちだと心から思う、教会で嘘はつけませんからね。」と笑わせてくれました。

彼はプロのピアニストでしたが、「自分はニューオリンズジャズを演りたいのに、来るのはポップスのような仕事ばかりなんだ」と言っていたとか聞きました。このジレンマとストレスが、彼の健康を蝕んだような気がします。「これほどのピアニストが、こんなに早く」と惜しまれてなりません。(以上敬称略)

Jon Marks の略歴 #1

ニューオリンズ・ラスカルズとの交流

#1 Wikipedia(12月4日現在)、Jazz Nachrufe 2007、New Orleans Notes (by Tom Jacobsen on "The Mississippi Rag September 2007")の記事を参考にしました。The Mississippi Ragについては ODJC会員コナカさんに教えていただきました。

#2 ジョン・マークスは「ラスカルズに初めて会ったのは、1968年ニューオリンズで」と繰り返し言っています。川合純一さんに聞いたところ、川合さんが滞在していて、彼と出会ったそうです。「1984年」はバンドとの交流が始まった年です。

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