BOURBON STREET

Step 20    末廣光夫さんと秋満義孝さんは元気です会?

堀 晃 (ODJC会員)

 2006年3月26日 18:30〜(疲れるまで)
 新神戸オリエンタルホテル「真珠の間」
 神戸ジャズストリートの前夜祭でお馴染みの会場。
 ここで『末廣光夫さんと秋満義孝さんは元気です会?』というジャズ・パーティが開かれた。
 ともに今年が7並びのめでたい年齢ということのお祝いの会である。

喜寿のおふたり

 もっとも、最初は末廣光夫さんをお祝いするという企画だったらしい。が、年齢を強調するのには末廣さんに少し抵抗があった模様。
 今年は全日本ディキシー・フェスが40回目、神戸ジャズストリートが25回目という節目の年。しかも秋満義孝さんは同年の生まれ。
 そこで、「神戸のジャズ・シーンを担ってきたお二人」に、これからも元気に活躍してもらおうという主旨のパーティとなった。

ディキシー・キャッスル

 東京から参加のディキシー・キャッスルによるウェルカム演奏でスタート。
 「林檎の木の下で」や「Do You Know What It Means To Miss New Orleans」など、軽快な雰囲気でスタート。
 テーブルが埋まったところで、発起人を代表して、岩井道夫さんの発声で乾杯。
 ちなみな、おれ(堀)の席は中央のいちばん前。つまりかぶりつきで、背後がステージという位置。同テーブルは同世代の紳士淑女ばかりで、あまり飲まない方ばかり。
 おれのところにビール瓶が林立して、会場全体から見ると、正面にひとり呑ん兵衛が居座って、演奏に背を向けていぎたなく飲み続けているように見えたのではないか。
 お見苦しかったかも。どうかご容赦を。
 ま、済んでしまったことだけど。
 以後、演奏と歓談タイムの繰り返しで進行する。
 司会進行は辛島寿美子さんである。

キャッスルJB & 辛島寿美子さん

 最初に登場したのが桔梗亮三さん率いるキャッスル・ジャズバンド。
 「イースター」「草原の月」……
 そして辛島寿美子さんが一曲「ハロー・ドリー」(本当は末廣さんから「Too Young」というリクエストだったらしいけど)
 最後は桔梗さんフィーチャーで「チャイナボーイ」
 ここで、今年度の「神戸ジャズ大使」認証式が行われた。

JAZZ大使

 今年のジャズ大使、左から副大使のナカウ・マイコさんとクロダ・タカヨさん、そして大使のワタナベ・エリさん。
 ブレダ・ジャズフェスから秋のJSまで、活躍が期待される。
 続いて、東京から参加の花岡詠二さんを中心とするカルテット登場。

花岡詠二4

 ベース水田欽博、ドラム藤田洋というお馴染みのメンバーに、ピアノは早くも秋満義孝さんが登場。
 最初に「サンセット77」のテーマ。むろん年齢にひっかけた寿歌?である。
 花岡さんは学生時代から秋満義孝バンドに憧れていて(南部三郎なんて懐かしい名が出てくる)、アルバイト先で、柱の影で秋満バンドを聴きながら採譜までしたという。
 その頃の曲から「マイ・メランコリー・ベイビー」「アイ・サレンダー・ディア」……泣かせるなあ。
 ここにキャンディ浅田さんが加わって「Falling Love With Love」

キャンディ浅田さん

 つづいて十川尚子さんが登場。

十川尚子さん

 十川千江子さんのピアノで「夢見る頃を過ぎても」
 姉妹かなと思っていたら、音楽家一族で叔母・姪の関係らしい。
 ふたたびディキシー・キャッスルの登場。
 「オリジナル・ディキシーランド・ワンステップ」など賑やかに演奏。
 寿歌?演奏は末廣さんに捧げる「素敵な貴方」。各バンド、色々と工夫しているなあ。

AOKIモデル

 例によってバンジョーの青木研さんがエンターテイナーぶりを発揮。
 ちなみに青木さんのバンジョーは「AOKI Model」といって、ヨーロッパでは人気を集めているそうな。
 確かに右手袖口あたりに「AOKI」のエンブレムが見える。
 全6曲、30分近い演奏であった。
 つぎに原田紀子さんのステージ。

原田紀子さん

 秋満さんのトリオをバックに、ここではじめて末廣さんへの祝歌「Too Young」が歌われた。
 色々と楽しい演奏が続いてきたが、トリをつとめるバンドは、当然地元のロイヤルフラッシュ・ジャズバンドである。

ロイヤルフラッシュJB

 「アット・ジャスバンド・ボール」「ドクター・ジャズ」と正統派デキシーでスタート。
 ここに(今回、残念ながら、大阪のバンドの都合が悪かったことがあって)大阪を代表して、レッドビーンズの池本徳和(コルネット)さんが参加。
 「アラビアの酋長」快演。
 つづいて吉川さんのテナー・フィーチャーで「I'm Gonna Sit Right Down And Write Myself A Lettwr」という長ったらしいタイトルの曲。(いい曲だけど、こんなタイトル、嫌なんだよね。あとで秋満さんのご意見を紹介するけど、まったく同感)
 引き続き、ロイヤル名物「月の砂漠」。
 渡辺朗さんの生真面目なヴォーカルがバカウケである。
 さて、大物歌手登場である。
 滅多に聴けないヴォーカル、末廣光夫さんの登場。
 あ、渡辺さんはこの露払いであったのか。

末廣光夫さん

 曲目は「嘘は罪」。
 うーん、ともかく歌うことに意味がある。意味がなければスイングしない。
 おれが証言する。大橋巨泉よりも数段うまいことは確かである。
 ここで、末廣さん、秋満さんへの花束贈呈。
 そして、おふたりからご挨拶があった。
 末廣さんの挨拶の要旨。歳をとらないコツ、ボケないためには、若い頃をプレイバックすることといわれる。ただ若い頃を思い出すだけではだめだ。その頃の音楽を思い出さなければ。ジャズに限らない。演歌でもいい。その頃の音楽を聴き歌うことがいいんだ。
 と、秋満さんが注釈的に……そのため(思い出すため)には、英語のなんたらかんたらという長たらしいタイトルはいかん。自分に手紙を書くとかなんとか('m Gonna Sit Right Down And Write Myself……ね)。短いのがいい。スターダストとかグッドバイとか。長いのは日本語にした方がいい。
 ジャズメンが「ミス・ニューオリンズ」とか「ユードビ」とか略すもの同じ理由からなのだろうな。
 ともかく、まったく同感なのであった。
 

秋満義孝さん

 ということで「時の過ぎゆくままに」を弾かれる秋満さんであった。
 最後は、出演者のほとんど全員がステージに上がっての大セッションになった。
 最後の曲は……「Blues My Naughty ……なんとか」だったっけ。
 酔っぱらってしまって、長い曲名は覚えきれないのである。
 ラッパ部隊、トロンボーン部隊……とソロ回し。
 と、ここで、大森さんの左手バンジョーに青木さんが右手で参加。

バンジョー二人羽織

 写真で見ての通り、要するにバンジョー「二人羽織」である。
 たいしたものだ。
 と、(これを見て即興的に思いついたのは間違いない)花岡さんが渡辺さんのクラリネットのマウスピースを180度回転させて、下のようなアドリブでつづいた。

クラリネット二人羽織

 マウスピースが渡辺さん、指使いが花岡さんである。
 どうして「呼吸」が合わせられるのか?! ともかく見事なソロ?である。
 珍しいものが見られるなあ。
 最前列にいてよかった。

会場

 ということで、終演・終宴は午後10時少し前になった。
 「疲れるまで」という予告のとおり。
 末廣さんと秋満さんに見送られるかたちで会場をあとにする。
 いちばん元気なのはこのお二人であったような……。

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